例えばそれは、光源を探す旅のようなものだ。

ひかりあるところ、
そこに辿り着ければ仕合せになれる、そんな漠然とした希望が心の何処かにあった。
だからここまで、死ぬことなく泳いで来られた。
意外と辛い時でも前を向いて。
あなたが去った時でさえ私は、生きることを諦めなかった。
初めて舞台に立った時は、照明の眩しさに狼狽えた。
と同時に、この先に探し求める光源があるのではないかと、興奮して舞台下手にはけた。
心臓の鼓動が激しく打って、深呼吸しても息がまだ苦しい、苦しい。
膝をついたのは転んだからじゃなかった。
以来私は、ここで、劇場で旅を続けている。
正直に告白すれば、まだ何処へも辿り着いてはいない。
いまだ道の半ばで、光源ははるか先の未来だ。
けれど最近になって気づいたことがある。
舞台で演じている自分こそがリアルで、舞台以外の日常はフィクションに過ぎないと。
そして、また一かき、ひかりあるところへと近づいた気がするのだった。
永遠と遠泳。
浅瀬に遊んでいたつもりが、いつの間にか陸地は遥か遠くに。
海。
地球の70パーセント。
見上げれば満点の星空。
一番近いプロキシマ・ケンタウリでも4.2光年。
もう行くしかないのだと思う。
あの、日が沈んでいった方へ。
太陽までの距離は1億4960万キロ。
光源を探して。
例え身体が燃えようとも。
ここまで、ずいぶん時間をかけて頑張った気がするが、私は分かっている。
まだ此処は入口だってこと。
まだまだ、これから。
永遠と遠泳。
苦手な泳ぎもさすがに慣れてきた。
さあ、ひかりあるところへ。
ひかりあるところへ。
 
 
 
 
 
 
 

【スタッフ】

 
作・演出 : 雨々アメ(仮)
舞台監督・照明 : 長堀博士
舞台監督・照明補佐 : 大根田真人
音響 : 齋藤瑠美子
絵描き : 真夏果
宣伝美術デザイン : 小田善久
制作・宣伝広報 : 長堀博士・岩澤繭
当日運営 : 市川未来
協力 : 楽園王、REO、カリバネボタン、東京メザマシ団、オフィス再生、他
 
 
 

【ウテン結構*第3シーズン】
 
第1回番外公演―読―
『晴耕雨読』
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第7回公演追加公演―羊―
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幻の第4回公演―光―
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第10回公演―園―『ZOO』
 
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